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About
Dulles Bag

日本でのダレスバッグという呼び方の始まりは1951年(昭和26年)、鞄製造小売の老舗「銀座タニザワ」様がアメリカの平和使節団の一員として日本を訪れたジョン・F・ダレス氏が持っていたバッグにヒントを得て、製造し売り出したカバンが最初と言われています。

このスタイルの鞄の構造は単純ではありません。重厚感のあるフォルム、手に持ったときのバランス、置いたときの安定感、どれをとっても十分な知識と熟練を必要とします。さらに天然素材である革には知識だけでは足りないときもあります。技術も日々磨き上げ、アップデートを重ねなければ熟練とは呼べません。C.C.BAXTERは小さな工房ですが、知識と技術を持った職人が日々それを高める努力をしております。そのごく一部をご紹介いたします。

切る

裁断は一番最初、すべての基本となる工程です。特にダレスバッグのような立体的なカバンの場合は、裁断工程でのミリ単位のズレが全てを台無しにしてしまうこともあります。また、皮革は天然素材であるため、部分によって質感と特性が違います。均一に目の詰まった厚い部分、柔らかいが伸び方に癖がある部分など様々です。この素材のばらつきを見極めて裁断しなければなりません。もちろんすべての部品に均一に目の詰まった良い部分を使うのが最上ですが、それはコストが嵩み、また素材への敬意を欠くと考えます。これらを踏まえて、道具には革包丁や抜き型を使い、正確に部品を切り出す工程が裁断工程です。

貼る

貼る、という工程は、出来上がった製品からは殆ど見えませんが、カバンの内部の生地と表革の貼り合わせ、ハンドル芯、各部位の厚みや強度の調節などに大きく影響する重要な工程で、材質に適した材料の見極めが必要となります。ダレスバッグの特徴とも言える口枠は、金属の枠に革を巻いて作られますが、この革巻きを、ピッタリとシワなく隙間なく仕上げるには熟練が必要です。また、バッグハンドルは床革を強力に貼り合わせて厚みを出したものを削り出し、芯にして作っています。このようなバッグハンドルは、現在大多数は金属または樹脂の成型芯が使われますが、これは成型芯のなかった時代から伝わっている作り方です。この手法で作られたハンドルは、手に持った時の当たりが良く、また長年の使用によって馴染みを増していき、万が一の衝撃などにも折れたり曲がったりしにくいという利点があります。C.C.BAXTERでは昔ながらの手法で作られたハンドル芯もお選びいただけます。

縫う

手縫いとミシン縫いの最も大きな違いはその強度にあります。ミシンが上糸と下糸をひっかけて縫い合わせるのに対し、手縫いは1本の糸をひと目ごとに交差させ締め付けるように縫います。このため、ミシン縫いでは糸が切れるとそこからほつれが広がってしまいますが、手縫いではその心配は低いとされています。しかし縫うスピードは勿論ミシンのほうが格段に速く、適材適所で使い分ける必要があります。ミシンも部位によって適した工業用ミシンを使い分けています。C.C.BAXTERのダレスバッグは、最も力がかかり消耗しやすい口枠とハンドルは手縫い、他はミシン縫いが基本です。ご希望があれば総手縫いのオーダーも承ります。ミシンも手縫いも見分けがつかないほどの、熟練した正確無比なステッチをお楽しみください。

磨く

革の断面をコバと呼びます。小さな部分ですが、このコバの出来でカバン全体の雰囲気を左右されるくらい重要な部分です。革は適切な磨き処理をすると、使い込んだ木材のような美しい光沢と手触りを、またこのコバ部分からのほつれ等を防ぐ堅牢性を持ちます。磨いた上にはさらに専用の塗料を使い、全体の印象を引き締める効果もあります。ハンドルなど直接手が触れる部分は特に心地よいなめらかさを感じていただけるよう、丁寧に仕上げております。C.C.BAXTERではこのコバを丁寧に磨き上げ、手に触れたときの滑らかさ、洗練されたカラー、長年の使用に耐える堅牢性を重視しています。